リートフェルト
僕がリートフェルトに興味を持った理由は「住宅が世界遺産」というまあどうしようもない普通の理由
でもそんなものを自分の目で見てみたい気がする気持ちは分かってもらえると思う。
地図を片手に街を歩いていると住宅街の中にシュレーダー邸はあった。
見た瞬間の感想は「ちっちぇな」だった。
建物の中に入り周りを見渡しても全てが小さくてびっくりした。そしてその小ささが気にくわなかった。
世界の銘建築を見てみると小さい建物はほとんど存在しない。
図面や写真で見るのと違って本物は小さい。というか狭苦しい。。
でも自分にとってこの作品をイイと思えるようになったのもこの建物を見て「小さい」という事に気づいたからなのかもしれない。
「小さい」=「高級ではない」という等式が僕の中にはあったように思う。
それはアメリカにあこがれる少年時代を過ごしたし、東京都庁を初めて下から眺めた時や東京ドームに初めて入った時のような「で
っけー」と思った印象が自分の中にあって「大きい事」=「良い」という等式がいつの間にか出来上がってしまっていたのだろう。でもこの作品にあって僕の考え方を変えた。
小さいものには小さいよさがあること。
スケールの違うものを同じ視点で見ないこと。
小さい物に小さいといってもしょうがないという事、当たり前の事だけれど、この作品を見て感覚的に理解する事が出来たように思う。
この国は小さい物にこだわりを持つ国だと思う。
大きさでは勝てないけれど一つ一つを見ていけば、住宅だって世界遺産になっちまうんだ。
豪華に金を使う生活をしている人もいるけど、金なんかに惑わされず小さな事にこだわって生きている奴もいる。
お金だけで判断する人生なんてつまらないですよね。
大きさだけで空間を判断するのもつまらないですよね。
リートフェルトは人々の日常の生活の中の小さい部分(空間、生活、内外、色)について考え抜いた結果の作品であって見てワッーと思うような建築ではない。
彼は空間の大きさを放棄し、自分の考え方に忠実に作品を仕上げた。
そんなすばらしい建築を夏に見ました。