メタボリズムの敗北?
中銀カプセルホテルが建替えの方向で話が進んでいるという。
1973年に完成し、世界的にも評価された作品。
メタボリズムという日本で唯一世界に発信された思想
建築が新陳代謝(メタボリズム)するという考えは、建築の構成要素の成り立ちを分解し、長年使える部分と使えない部分に分け、使えなくなったものに対して、部分的に新しくするという考え方。
建築が新陳代謝する。
永遠に生き続ける建築を探し求め、理論が完成した。
竣工から34年
この作品も老朽化の問題に対し、限界を向かえているようだ。
建替えか新陳代謝か?
コストは一緒。今後のメンテナンスを考えれば建替え案が有効だろう。
建築界はもちろん保存への動きを全面的に支援していくだろう。
ただ、メタボリズムの考えは現代の建築界では語る人はもはやいないのではないでしょうか?
そうするとメタボリズムは過去の遺産でしかないことになる。
提案として理論としてとても優れていてそういう意味での歴史的な重要性はきわめて高い。
しかし、新陳代謝するという理論が時代についていけず、崩壊してしまった。または理論にたいし現代の技術が追いついて行かない結果、建替え方針に結びついた。
結局建替えられた後にはつまらない普通のマンションが建つのだろう。
また一つ名作と言われる建築がこの世から消える。それは悲しいと言うより、建築のはたまたメタボリズムの定めのような気もしないでもない。
建築は他の美術作品と違い、経済的な要因が大きすぎる。今回の保存か建替えかと言う議論に対しては、今までの同潤会や帝国ホテルのような場合と違ように僕は感じる。
名作が消えてしまうのは悲しいことだけれど、メタボリズムの作品としての敗北でもあるように思う。あれから34年経っている。今度は半永久的に新陳代謝出来る建築を造る事に挑戦する事のほうがこの場合に関しては重要な気がする